研究課題/領域番号 |
08640536
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
固体地球物理学
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研究機関 | 国立天文台 |
研究代表者 |
田村 良明 国立天文台, 地球回転研究系, 助手 (90150002)
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研究分担者 |
日置 幸介 国立天文台, 地球回転研究系, 助教授 (30280564)
中井 新二 国立天文台, 地球回転研究系, 助教授 (70000172)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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キーワード | 海水準 / 検潮 / 験潮 / GPS / VLBI / コロケーション |
研究概要 |
東北地方の太平洋沿岸の検潮所(宮古、釜石、大船渡、鮎川)では、最近の40年間に15〜20cmの潮位の上昇が観測されている。潮位の時間変動を詳しくみると、1980年台はほとんど潮位の変化が見られないものの、1990年代に入ってから潮位の上昇の割合が大きくなっている。これらの変動のうち、汎地球的な海水準の変動と、地域的な地殻変動によって生じる見かけの潮位変動を分離するために、各検潮所の位置を汎地球座標系に結合するための観測を実施した。各検潮所に設けた基準点と国立天文台・水沢構内の基準点との間は、GPSにより座標結合を年2回程行った。また、水沢構内のGPS基準点は、汎地球座標系であるITRFの値が求められているVLBIアンテナとの結合観測を実施した。 検潮所と水沢構内の基準点への結合精度のうち、鉛直位置の再現性は、1日ごとの観測では5〜10mmの範囲でばらつくが、2週間程度の連続観測を行えば、2〜3mm程度の精度で鉛直位置を決められることがわかった。また、国立天文台・水沢構内における GPS点とVLBI点のローカル・タイ(局所的な基準点の座標結合)は、水平・垂直位置とも1mm以内で再現されている。さらに、GPSによる観測位置推定において、湿潤大気による伝播遅延の傾度を考慮することにより、位置決定精度が改善されることが分かった。 観測されている潮位変動のうち、1/2〜2/3は地域的な地殻変動の結果による潮位変動と推定される。三陸はるか沖の地震に伴って、東北地方のGPS観測基準点が半年間にわたって余効的な位置変化を起こすことがあることがわかり(Heki and Tamura,1997)、長周期の現象である海水準変動を議論するには、この点も考慮すべきことが明らかになった。
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