衛星によるマイクロ波放射計(DMSP SSM/I)観測データを使って、海氷のタイプを分類するプログラムを検討した。NASAあるいは、ワシントン大学による薄氷の分類プログラムでオホーツク海の薄氷の時空間分布を調べた。オホーツク海北西域での薄氷域の拡大縮小過程に注目し、オホーツク海の海氷生産においても重要性が確認された。これは、海氷拡大の初期において薄氷域が広域を占めること、冬期を通しての積算拡大面積はその冬の最大海氷面積に匹敵すること、その時間的変化が冬期の海氷域拡大のパターンを決定しているようであるなどといったことが見いだされた。さらに熱収支や力学過程の検討によりその正当性を検討する予定である。同様の解析は季節海氷域で可能であり、観測域を北大西洋、ベーリング海、南極海に広げる。北極圏や南極海ではさらに海氷観測アルゴリズムの改良が必要であり、新たなマイクロ波チャンネルを使った方法を検討している。これらの検証にはNOAA/AVHRRデータを用いる。バルト海の海氷データはフィンランドヘルシンキ大学より入手し、比較解析を行っている。特に海氷の厚さの検討に重点を置く。 気候解析についてはNCEP/NCAR再解析データ(40年分)を利用して、比較する。最近のレポートでは、北極海の海氷では長期的には現象の傾向、南極海では変化が少ないといった報告がされているが、新しい解析方法によりこれらのトレンドの原因となっている地域の変動を詳細に調べる。
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