米国の衛星観測データからマイクロ波放射計による観測データを用いて、毎日の分布データを作成し、また年々変動を解析した。気温と海氷面積の変動に相関が見られるが、さらに高い相関は気温と薄氷の占有率との間で見られた。すなわち温暖年には海氷面積が小さくなるとともに薄くなっている。オホーツク海北部で数週間も海氷域が孤立して維持される特異な海氷分布パターンが見いだされた。これは従来グリーンランド海で観測されていたOddenと呼ばれる孤立した海氷の形成と維持ににている。またこの現象は最近10年間では1996/97及び1995/96年冬期という温暖な冬に顕著に観測された。孤立した海氷分布パターンは12月から1月の結氷初期に見られた。またこれらの年にはオホーツク海の海氷は薄氷が占める地域が多くなっており、環境変化に対する季節海氷域の変化の一端が観察できた。また、薄氷域の存在による大気循環場の変化についてNOAA衛星のTOVSセンサーを用いて観測したところ、薄氷あるいは開水面の付近で低気圧性循環が見られ、季節風の吹き出しとの組み合わせで風の場が不均一になっているようであった。これは薄氷域での東西でのさらなる海氷の不均一をもたらし、東側での集積と西側での発散につながる。
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