オホーツク海については代表的な多氷年と少氷年を選び、毎日の海氷/薄氷マップを作成し、詳細な観察を行った。サハリン湾やサハリンに沿った風下域では、季節風の変動とともに薄氷の拡大縮小も見いだせる。しかし、陸地沿いでなく沖にも広大な薄氷域が検出されることから、その成因や海氷域内部の不連続状態などあらたな注意項目が指摘される。 衛星によるマイクロ波放射計(DMSP SSM/I)観測データを使って、海氷のタイプを分類するプログラムを検討した。NASAあるいは、ワシントン大学による薄氷の分類プログラムでオホーツク海の薄氷の時空間分布を調べた。オホーツク海北西域での薄氷域の拡大縮小過程に注目し、オホーツク海の海氷生産においても重要性が確認された。これは、海氷拡大の初期において薄氷域が広域を占めること、冬期を通しての積算拡大面積はその冬の最大海氷面積に匹敵すること、その時間的変化が冬期の海氷域拡大のパターンを決定しているようであるなどといったことが見いだされた。 米国の衛星観測データからマイクロ波放射計による観測データを用いて、毎日の分布データを作成し、また年々変動を解析した。気温と海氷面積の変動に相関が見られるが、さらに高い相関は気温と薄氷の占有率との間で見られた。すなわち温暖年には海氷面積が小さくなるとともに薄くなっている。オホーツク海北部で数週間も海氷域が孤立して維持される特異な海氷分布パターンが見いだされた。これは従来グリーンランド海で観測されていたOddenと呼ばれる孤立した海氷の形成と維持ににている。またこの現象は最近10年間では1996/97及び1995/96年冬期という温暖な冬に顕著に観測された。
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