研究概要 |
岩手県盛岡市で行った森林でのアルベ-ド・降雪量等の観測結果をもとに冠雪時のアルベ-ドについて次の結果を得た.冠雪のない森林のアルベ-ドは太陽高度が低いほど大きく,雲が多いほど小さい.また,森林面積に占める冠雪の面積比の増加とともに上昇するが,その関係は線形ではない.冠雪の面積比は,降雪後の時間とともに気温や風速に依存して指数関数的に低下する.樹冠による降雪遮断量は,常緑樹では樹冠密閉率が高いほど多いが,落葉樹では樹冠密閉率による差はみられなかった. 森林と大気との運動量・熱交換を表す基本パラメータである粗度とゼロ面変位について,複雑地形上でも適用できる方法を提案した.この方法は最大相関を得ることを基本としており,ばらつきの多いプロファイルデータからでも粗度とゼロ面変位を安定して求めることができる. 凍土を考慮できる形で土壌の温度分布を数値的に計算して,土壌凍結深の気象条件や土壌パラメータへの依存性を調べた.また,積雪や森林が凍結深に及ぼす影響について研究した.その結果,凍結深は積雪深や積雪の熱物理係数に敏感であること,土壌含水率や森林密度にはあまり敏感ではないことがわかった. 今後は,森林と積雪が混在する状態での放射特性について分光放射観測を行いアルベ-ドをパラメータ化すること,赤外線放射計を利用したエネルギー交換量の推定方法を確立することを主目的としたい.
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