研究課題/領域番号 |
08640542
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
梶川 正弘 秋田大学, 教育学部, 教授 (20042319)
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研究分担者 |
遊馬 芳雄 北海道大学, 大学院・理学研究科, 講師 (10183732)
林 良雄 秋田大学, 教育学部, 助教授 (90211490)
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キーワード | 層状雲 / 氷晶化 / 高層雲 / 中層雲 / レーダーエコー / 雲水量 / 高積雲 / 乱層雲 |
研究概要 |
層状中層雲(特に高層雲)を対象に、内部の氷晶化過程を中心とする雲粒子の変化・発達機構の解明を目的として、地上設置のリモートセンシング機器による観測を実施した。 本年度は、北海道石狩市にXバンド垂直レーダーと2波長マイクロ波放射計を設置し、夏季と秋季にのべ2週間にわたり、多様な総観的気象状況の下に形成された高層雲、高層雲と他の雲との共存時などについて、観測データを取得した。対象とした雲の外観とその変化の模様は、購入備品のビデオ収録システムを用いて記録した。 本年度の観測データからは、特に高層雲から乱層雲へと変化し、さらに降雨に至る一連の過程におけるレーダーエコー、鉛直積算雲水量(LWP)の特徴が明らかにされた。得られた結果を要約すると、以下のようになる。 1.高層雲が厚さを増して乱層雲へ変化する場合、高層雲のLWPは0.014cm以上でレーダーエコーを伴う。さらに発達して、地上に降雨が達するような場合には、LWPは0.05cm以上となる。ただし、乱層雲が薄く、霧雨の場合のLWPは、0.012cm程度のこともある。 2.高層雲の下に層積雲が重なり、レーダーエコーが発現して降雨が始まる場合、LWPは0.05cmを越えるが、レーダーエコーは下層のみに限られる。 3.高層雲の上部が対流セル状になると、下層にレーダーエコーが発現する。 4.積層雲から薄い乱層雲に変化する場合、LWPが0.01cmを越え、下層にレーダーエコーが発現して霧雨となる。さらに、上部に高層雲または高積雲が重なると、LWPは0.02cm以上になる。 平成9年度は、さらに観測データを増やすと共に、高層雲から乱層雲への内部構造の変化過程を定量化し、その概念モデルの確立を目標とする。
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