研究概要 |
人工衛星 EXOS-D,GMS-4,ETS-VI,GOES-5等の電子の観測および磁場変動の観測から次のような現象について、解析をおこない検討した。 1。相対論的電子の放射線帯の内帯と外帯について、その変動特性を8年間にわたるデータをもとに解析した。内帯は、ほとんど変化しない。外帯は、地磁気変動に対応した変動を繰り返しており、ほとんど定常状態が考えられない。1995年に地磁気が静穏な状態が続いたときには、ほぼ高エネルギー電子の外帯が消滅し、地磁気の活動が活発になり、外帯が形成されていった。1996年にもほぼ同じような現象があり、詳しい解析が必要である。 2。いくつかの磁気嵐について、放射線帯の変動過程の解析した。変動過程は、4つの期間に分けることができる。期間1では、Dstの発達とともに外帯全体のフラックスが減少する。従って、大気へ効果したものと考えられる。期間2では、Dstの発達のピーク後に、slot領域に粒子の流入が起こる。このタイミングはいままで知られていなかったことであり、メカニズムを解明することが、今後の検討課題である。期間3では、外帯のフラックスが増加し、もとのレベル以上となる。期間4で、拡散過程により、もとのレベルに戻る。 3。低高度での観測と赤道域での観測との比較をおこなった。一日平均値での比較では、ほぼ両者が同じように変動することがわかった。このことにより、放射線帯の外帯では、実際に粒子量が変動しているのであり、ピッチ角分布の変動だけでは、説明できないことがわかる。 4。従来の地磁気活動指数からの外帯の電子フラックスの変動の予測方法を拡張し、静止衛星での磁場の観測から、磁場変動の大きさを指数化する方法を考え、静止衛星磁場のみの観測から、電子フラックスの予測方法をおこなうアルゴリズムを作った。
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