1.内部磁気圏の磁場構造 ETS-VIIの磁場観測データをもとに、地球の内部磁気圏の磁場構造をモデル化を試みた。観測範囲は、1995年の軌道と高分解能のデータの取得の制限から、地球半径の5倍から7.5倍にかけての赤道面付近の領域に限られている。この領域について、各地方時3時間ごとに、動径方向に0.5Re、南北方向に1Reの格子内で、静穏時と擾乱時の平均磁場を算出した。昼間側では、静穏時と擾乱時の差はあまりなく、IGRFよりは、より赤道面に平行な成分がでている。夜間側では、ほぼ地磁気擾乱指数Kpに比例して変動していき、擾乱時には、より磁気圏尾部の電流系の影響が強くなり、より尾部的な構造を示す。真夜中付近では、6-7Reにほぼ15nA/m^<**>2電流密度の電流が流れていることがわかる。粒子の軌道計算に応用できるように今回のモデルをさらに定量的にしていく。 2.内部磁気圏の高エネルギー電子の変動のモデル化の基礎研究 磁気嵐にともなう内部磁気圏でのMeV領域の電子の変動モデル化を1995年10月の例として検討した。磁場のモデルは、Tsyganenko 96により、太陽風の磁場と圧力により時々刻々変化させる。磁気圏の電場は、地磁気指数Kpにより変化させている。人工衛星「あけぼの」で観測された電子フラックスを初期値とし、静止衛星の観測を境界条件として、モデルを2日間走らせた。地磁気嵐の発達時のフラックスの減少と、回復時のフラックスの増加については、観測と同様の変動を示すことがわかった。どのようなプロセスをへて、このような変動が起きているか、モデル内での各機構の役割について今後検討する必要がある。
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