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1996 年度 実績報告書

EISCATレーダーを用いた極域電離圏中の大気重力波擾乱の研究

研究課題

研究課題/領域番号 08640557
研究種目

基盤研究(C)

研究機関電気通信大学

研究代表者

柴田 喬  電気通信大学, 電気通信学部, 助教授 (80017417)

研究分担者 奥澤 隆志  電気通信大学, 電気通信学部, 教授 (50013678)
キーワードEISCAT / 大気重力波 / TID
研究概要

本研究は,EISCAT CP1観測で得られた電離圏プラズマパラメータ変動から,同一の大気重力波に応答していると判定されるTID事象を選び出し,電子密度の変動(△Ne),電子温度の変動(△Te),イオン温度の変動(△Ti),さらにイオン速度の変動(△Vi)における位相と振幅を同定することを,そしてそれらの位相差,振幅比を評価することによって各プラズマパラメータの変動機構を解明することを目的としている。検出された35例のTID事象(変動周期はいずれも100〜200分)について,相対位相を求め統計処理したところ,まず,Te-TIDとTi-TIDの位相差の出現頻度は0°付近に分布のピークがあり、両者はほぼ同位相の変動とみなせる結果が得られた。TiおよびTiの変動は電子やイオンガスと中性大気との間に主に弾性散乱を介して大気重力波に追随していると考えられるが,電子-イオン間のクーロン相互作用による熱輸送も働いているはずであり,△Te変動と△Ti変動がほぼ同位相であるとの今回の観測結果は,このクーロンカップリングが位相遅れをほとんどもたらさないことを意味するものと思われる。次に,Ne-TIDとTe-TIDの位相差については,先の△Te-△Ti間の位相差ほどには顕著な分布を示していないものの,それでも【.+-。】180°のところに頻度ピークの一つが認められた。これは△Te変動における冷却効果の役割を一部裏付ける物と考えられる。最後に,Vi-TIDとTi-TIDの位相差の出現頻度についても顕著な単峰分布とはならずかなりばらついており,どちらかと言えば-20°〜-90°および-180°付近に若干のピークが認められるというものであった。ところで,このViとTiの変動は共にイオン-中性粒子間衝突を介しているので両者共大気重力波に良く追随するべきとの考えがあり,したがってそれらの位相差は大気重力波における中性粒子速度変動(△Vn)と中性大気温度変動(△Tn)の位相差をそのまま反映しているとの予測がある。その予測に基づいて大気重力波の偏波関係式から△Vn-△Tn間の位相差を求めてみると約-110°となり,今回の観測結果と必ずしも一致しない。この不一致が何に依存しているかの解明は,今後の課題となっている。

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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