研究概要 |
本研究では,1978年から1995年の18年間にNagoya(〜60GV),Misato(〜145GV),Sakashita(〜331GV)の三つの多方向ミューオン計で観測されたデータに対して同様な解析を行い,高エネルギー領域での輸送パラメータを調べた。その結果,太陽時日変化の位相に明瞭な22年変化が見られると同時に日変化の限界エネルギーが11年周期で変動している様子が分かった。この期間の太陽時日変化の限界rigidityは平均すると170±20GVであった。一方,太陽磁区(sector)の交替に伴って反転する恒星時日変化を解析し,太陽赤道面に垂直な南北異方性のエネルギースペクトラムを求めたところ,限界rigidityが平均で890±70GVと異常に高いことが分かった。この原因は今後の研究課題である。また,これら太陽時日変化異方性および南北異方性から宇宙線密度勾配,宇宙線の磁場揺らぎによる散乱の平均自由行程等の輸送パラメータを求めたところ,太陽圏緯度方向の双方向宇宙線密度勾配(bi-directional density gradient)及び動径方向密度勾配(radial density gradient)に,Chen and Bieber(1993)等が中性子計のテ-タから導いた変動と同様の長周期変動が見られた。このことは,これらの変動が高エネルギー領域でも存在していることを示唆している。
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