研究課題/領域番号 |
08640559
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中島 英彰 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (20217722)
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研究分担者 |
村田 功 東北大学, 理学研究科, 助手 (00291245)
田口 真 国立極地研究所, 助教授 (70236404)
小池 真 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助手 (00225343)
近藤 豊 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 教授 (20110752)
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キーワード | 赤外分光 / FTIR / 高度分布 / リトリ-バル / 成層圏 / オゾン / 微量気体 / レーザーヘテロダイン |
研究概要 |
平成9年度は、昨年度のレーザーヘテロダイン赤外分光計(TDLHS)及びフーリエ変換赤外分光器(FTIR)同時観測で得られた赤外分光データの解析を引き続き行った。具体的には、名古屋大学母子里観測所で2つの観測装置によって得られた太陽光の赤外分光スペクトルを解析することにより、オゾン(O3)、塩化水素(HCl)、弗化水素(HF)、硝酸(HNO3)などの微量気体成分の高度分布を導出した。解析には、アメリカ・デンバー大学で開発された、非線型最少二乗スペクトルフィッティングプログラムを用いた。その結果、2つの観測装置で得られたデータを解析することで導出されたオゾンの鉛直分布は、解析アルゴリズムの誤差範囲でよく一致することが判った。 次に、これら解析アルゴリズムの信憑性を確認するために、オゾンゾンデによるオゾン鉛直分布の直接観測との統計的な比較を行った。具体的には、母子里観測所で赤外分光観測と同時に行った計17回のオゾンゾンデ観測によるオゾンの鉛直分布を、赤外分光観測データの解析によって得られたオゾンの鉛直分布と比較した。その結果、以下のことが判った。まず、赤外分光観測のもっとも感度の高い高度18-26kmの領域では、それぞれの手法で観測・または導出されたオゾン混合比の値は10%以内で一致した。一方、それ以外の領域では赤外分光観測による高度分布導出の感度が低下するため、高度10km以下では最大40%、高度30km以上では最大20%の誤差が生じることが判った。 これらの結果により、地上における高分解能での赤外分光観測は、微量気体成分の鉛直分布の導出に有効であることが実証された。今後はさらに、対流圏成分を含むさまざまな微量気体成分の鉛直分布の導出を行っていきたいと考えている。
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