研究概要 |
購入した真空装置の改良、並びに、難揮発性惑星起源物質の創製のための新たな装置を構築し、実験を開始した。これまでの研究成果に本補助金で開始した研究成果を加え、以下のように学会で報告した。 1)「粒子の光吸収の関するサイズ・形態効果の実験的研究」Grain Formation Workshop XVIII(1996.11)pp.93-97. 概要:フラッシュ煙微粒子法を開発し、従来作製できなかった100nmの球状の難揮発性惑星起源物質であるMgO粒子の作製に成功した。この粒子の赤外吸収スペクトルは、これまでの1000nm径の立方体粒子のそれとは異なった。この原因の究明が今後の課題である。 2)「粒子の腐食と酸化物粒子創製の新手法」Grain Formation Workshop XVIII(1996.11)pp.98-101. 概要:難揮発性惑星起源物質であるA1203を酸素導入煙微粒子法を開発して作製した。生成した粒子は20-100nmサイズのγ-アルミナであることが、電子線回折と赤外吸収スペクトルの解析から明らかにした。これは、酸化反応により高い温度で粒子が生成したことを意味する。本生成法を他の物質にも適応し、Cu20,SnO,Sn02などの超微粒子の生成に成功した。 3)「粒子の構造と光吸収スペクトル」星間雲から原始惑星への物質進化(1996.12). 概要:難揮発性惑星起源物質であるMgOとSi-O粒子のサイズ、形態、構造と赤外吸収スペクトルの相関関係を議論した。 4)「MgOグレインの形と吸収の関係」地球惑星間連合合同大会(1997.3) 概要:難揮発性惑星起源物質のMgO粒子の赤外吸収ピークにおいて、立方体粒子が20μmに示すピークが、球状の粒子の場合18.3μmにシフトする現象が見られ、長波長側にはダブルピークが現れた。これらの関係を議論した。 5)「酸化シリコン薄膜の構造と光吸収」地球惑星間連合合同大会(1997.3) 概要:SiO粉末蒸着膜の空気中500°Cで熱処理した難揮発性惑星起源物質のSi-O薄膜の赤外吸収ピークが、10.2μmから9.3μmにシフトすることを発見した。アモルファス薄膜の構造に対して提案した微結晶構造からこれらの変化を説明した。
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