研究概要 |
1,難揮発性惑星起源物質である酸化マグネシウムの形態と光吸収との相関関係を明らかにした. 詳細 酸化マグネシウム粒子は,その結晶構造の特性から,立方体となる.これを熱処理すると,粒子同士が接合成長して,楕円体の粒子となる.更に,立方体の酸化マグネッシウムを長期間常温で保存すると,球形の粒子に変化する.作製した立方体,楕円体及び球形の3つの外形を持つ酸化マグネシウム粒子の赤外吸収を測定すると,明らかに違いを生ずる.理論的な検討も加え,粒子の外形と赤外吸収との相関を明らかにした.この結果から,宇宙から届くスペクトルの解釈が単純でないことを結論した.(「Experimental Studies on Correlation between Particle Shape and Infrared Absorption of Magnesium Oxide Particles」 Antarctic Meteorites XXII (1997.6) pp.85〜87,「α-Al_2O_3微粒子の形態と光吸収の相関」日本惑星科学会(1997.9)). 2,難揮発性惑星起源物質粒子創製のための新しい方法を開発した. 詳細 直径3mmのカーボンロッドの先端に0.5mm径の穴をあけ,その穴に,同じく径0.5mmを持つ,難揮発性の金属線を挿入する.これを径5mmのカーボンロッドに押しつけ,真空中で通電すると,カーボンと金属とが同時に蒸発して,下地上に金属を含んだカーボン膜が生成する.これらの金属は,通常の方法では蒸発できないが,この方法で簡単に蒸発することができる.生成した膜を空気中で加熱すると,カーボンは炭酸ガスとなって蒸発し,酸化金属膜だけが下地上に残る.創製された金属酸化膜は,やはり通常では作れない膜である.これによりカーボンスターで生成した粒子の変成の機構の1つの解釈が可能となる.この方法は新しい材料創製が可能であるから,本研究は新たな材料科学へ展開し得る.(「難揮発性物質薄膜の生成法」日本物理学会(1998.3)).
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