研究概要 |
1.西南日本内帯(美濃帯・丹波帯・超丹波帯)で野外調査を行い,これまでに発見されているイベント堆積物につき試料採取を行うと共に,あらたなイベント堆積物の探索につとめた. 2.調査研究地域を東北日本にまで広げ,北上山地等でイベント堆積物の探索を行った. 3.岐阜県加茂郡上麻生に分布するチャート中に挟まれるイベント堆積物の構成粒子を化学分析し,その種類を同定している. 4.極東ロシアのシホテアリン山地には西南日本内帯とよく似た中生代付加体が広く分布する.これらの付加体のうちジュラ紀に形成されたサマルカ帯の三畳紀チャート中に産するイベント堆積物を詳細に検討した.その結果,この堆積物の組成・年代・産状・運搬機構は,西南日本内帯のジュラ紀付加帯中に産するイベント堆積物とよく似ていることが判明した.両者を比較して得られた結果は,1996年8月に中国の北京で開かれた第30回のInternational Geological Congressの会議報告集に印刷中である. 5.三畳紀の海洋環境を考える上で,環太平洋地域の付加体に保存されている海洋性岩石群は重要な手がかりを与えるが,それらは浅海成の石灰岩石類と深海性のチャートに分けられる.これらはこれまで独立に研究されてきたが,チャート中の砕屑岩は両者をつなぐmissing linkとなりえる.こういった観点に立った検討を行い,その成果を1997年10月,九州大学で行われた地質学会において発表した. 6.現在,岐阜県各務原市尾崎と岐阜県加茂郡上麻生に分布する三畳紀チャート中に挟まれる砕屑岩層について,その構成粒子の堆積岩岩石学的特徴と放散虫年代を記載した論文を執筆中である.
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