研究概要 |
本研究の目的は,古第三紀から中期中新世にかけて起こった日本海の形成を,古地磁気学と構造地質学の両面から明らかにすることである.今年度の成果として次の3つを挙げることができる. (1)新潟山形県境域(羽越地域)の古地磁気を測定した.下部中新統以下の古地磁気データに基づいて,東北地方は日本海拡大時に単一ブロックとして回転したと考えられていたが,羽越地域ではそれとは反対まわりのブロック回転が検出された.ブロック境界の変位量,回転量から約50kmていどと見積もられた. (2)岩手県久慈地域の古地磁気,上述の知見から,東北地方においてどれだけの領域でブロック回転がおこったのかが新たな問題として浮かび上がってきた.そこで岩手県久慈地域の白亜系・古第三系において地質調査を行うとともに採取した試料で古地磁気の測定を行った.その結果わかったことは,本地域が東北地方の他の地域と変わらないということである. (3)日本海拡大時における西南日本の動きを見るため,三重県加太地域の下部中新統地質調査を行った.その結果,同地域の堆積盆が基盤由来の崖錐性堆積物で埋積されており,したがって堆積時に活発な断層運動があったことが推定された. なお,羽越地域については,来年度も引き続き古地磁気用試料の採取・測定および地質構造調査を行う予定である.このほか来年度は日本海拡大時の西南日本孤の運動を解明することを目標とする.
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