研究概要 |
本研究課題遂行のため,40Ar/39Ar,Rb-Sr及びSm-Nd,FT年代測定用の久万層群中の変成岩礫の採取をおこなった.試料採取地点は,久万層群の下部から上部までの多様な層準を選択し,愛知県松山市南方地域,古岩屋地域及び瓶が森地域とした.また,久万層群中の変成岩礫との記載岩石学的比較のため,四国中央部及び中部地方の三波川変成帯,三郡変成帯の地質調査及び変成岩試料の採取をおこなった.採取した試料については詳しい岩石記載をおこなった.その結果,瓶が森地域の久万層群最下部層より採取した変成岩礫には,久万層群下底,不整合直下の低変成度(緑泥岩帯)の三波川変成岩由来の櫪のほか,ざくろ石角閃岩,藍晶石角閃岩,エクロジャイロ質変はんれい岩などの異質な高変成度礫が多数見いだされた.特に,エクロジャイロ質変はんれい岩は四国中央部別子地域三波川帯に現在露出する五良津変はんれい岩体あるいは肉淵かんらん岩体中のエクロジャイロ質変はんれい岩によく似ており,今後のより詳しい岩石学的研究が必要である.また,岩石記載に加えて,構成鉱物のEPMAによる化学分析,分析電子顕微鏡(TEM)による微細組織と微小領域の定量分析をおこない,変成岩礫及び比較試料の変成P-T経路の解析をおこなった. 変成岩礫より,電磁分離器(アイソダイナミック・セパレーター)及び重液(ヨウ化メチレン)を用いて年代測定用の鉱物分離(ジルコン,スフェン,りん灰石,ホルンブレンド,白雲母,黒雲母)を実施した. 変成岩礫の記載岩石学的データのデータベースの作成を始めた.また,変成岩礫との比較検討試料とするため,日本の変成岩地質年代データベースの作成に着手した.
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