研究概要 |
I.舞鶴帯の地質調査と夜久野岩類の地球化学的検討を行い,舞鶴帯の古島弧-背弧盆系として復元可能であることを示した(早坂ほか,1996). II.三群-中国帯に分布するジュラ紀付加体中の玄武岩源緑色岩の地球化学的検討を行い以下の結果を得た. 玖珂層群や鹿足層群などの弱〜非変成付加体中に含まれる緑色岩は全てが無斑晶質か普通輝石の微斑晶のみを含む.一方,八東層などのジュラ紀変成岩中の緑色岩は大規模なものが多く,これらには無斑晶質なもの,1mm以上の普通輝石斑晶の目立つもの,3mm程度の普通輝石とカンラン石斑晶を多く含むものなど多様である.八東層の緑色岩は海洋島などのアルカリ玄武岩に特徴的に産するケルス-ト閃石を含んでいる. 無斑晶質玄武岩は全てソレアイト系列に属する分化トレンドを示している.カンラン石斑晶を含んでいるものの多くはアルカリ玄武岩や数パーセントのノルムneを含むアルカリカンラン石玄武岩などである. 三隅層群都茂累層中の緑色岩の全岩組成は海洋島玄武岩とE-type MORBの間の組成を示し,海台に産するややTiに富んだソレアイトに近い,三隅層群の緑色岩については既に全岩-単斜輝石のSm-Nd同位体年代として356±35Maおよび333±31Maが得られている.Nd同位体の初生値はそれぞれ0.512500および0.512506であり,εNdを340Maの年代で計算するとおおよそ+6となる.同じ年代でεSrを求めると約-15となる.これらの結果は佐野・田崎(1989)が丹波帯II型地層群中の南部のソレアイト系緑色岩から報告したものに類似する.
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