研究概要 |
1.兵庫県朝来町地域舞鶴帯の夜久野岩類に含まれるト-ナライトからジルコンを分離し,U-Pb年代測定を行った.その結果,第1ステージに分類される片麻状構造の著しいものが285±2Ma,第2ステージに分類される片麻状構造の認められないのが282±2Maという値が得られた(Herzig, et al., 1997).両者の年代差がほとんどないことから,舞鶴帯南帯の夜久野岩類に含まれるほとんど全てのト-ナライトは,海洋底の斜長花崗岩ではなく,島孤における化成作用の産物であること,また,夜久野岩類に認められる変形・変成作用の主体は海洋底変成作用ではなく,ペルム紀初期に島孤化した次期における島孤内変成作用であると結論した. 2.中国地方に分布するジュラ紀付加体中の緑色岩約50試料について全岩化学組成の分析を行った. 主要元素の分析結果からは,ソレアイト系列に属するものと,アルカリ岩系列に属するものの2系列の存在が明かとなった. 微量元素の分析結果から,以下の事が判明した. (1)玖珂層群の緑色岩はMORB起源である. (2)他の大部分は海洋島,もしくは海台起源の玄武岩である. (3)鳥取県用瀬町地域の八東層中の緑色岩はNb/Zr比の高い,いわゆるHIMU玄武岩に分類される.この玄武岩には直径5mm程度の粗粒な単斜輝石を多量に含むものと,無斑晶質のものの2種類がある.いずれも枕状構造が顕著に発達し,発泡している. 今後,上記HIMU玄武岩の広がりを確認することを主な目標として研究を行う予定である.
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