研究概要 |
1, 大江山オフィオライトの新見岩体の細粒斑れい岩の分析用標本採集をおこなった.落合-北房岩体については,基底部の衝上断層についての構造解析をおこなった. 2, 夜久野オフィオライトの朝来岩体から斑れい岩ミグマタイトを発見し,これに関連する岩石の蛍光X線分析をおこない,未成熟島弧下部における部分溶融過程を明らかにした.また,サハリンのシュミット半島オフィオライトとマリアナフォアアークオフィオライトについても蛍光X線分析を実施した.これらのデータ解析は今後の課題である. 3, これまでExcelを使用していたデータベースを改訂し,「ファイルメーカーPro ver.3.0」を使用した地球化学用リレーショナルデータベースを完成させた.まず,これまでに蓄積したデータを移植し,文献,サンプル記載,全岩主要元素組成,全岩微量元素組成,鉱物の化学組成,同位体組成の個々に独立したデータベースを作成し,それらをリレーショナルデータベースとして統括するような構造とした.登録データ量は現在までのところサンプル数にして1,200件と少ないが,今後随時追加登録を進める予定である. 4, 広島大学においてサハリン・シュミット半島オフィオライトについてSm-Nd年代,Rb-Sr年代およびジルコンのSHRIMP年代の測定を実施し,約125Maの年代値を得た.また,福山市北方の舞鶴帯山野層群中の圧砕花崗岩レンズからジルコンを分離し,SHRIMP年代の測定を行い,約300Maの年代値を得た. 5, 大江山オフィオライトに貫入している細粒斑れい岩・輝緑岩,秋吉列の海山群,夜久野オフィオライト,丹波帯の緑色岩類が共に350〜400Maという年代を示すことから,デボン紀〜石炭紀前期の同時多発的なプリュームの活動が浮かび上がってきた.
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