1.八代海域の音波探査および活断層マッピング 日奈久断層の海底延長上を重点に、全域を東西105測線、総延長300KMにわたり音波探査を実施した.日奈久断層は、明瞭な引きずり込み構造(小川・岡村ほか、1992)を示す、横ずれ成分の卓越した海底断層である.海上延長部は少なくとも20kmにわたって観察され、いくつかのみかけのセグメントに分かれる.断層を挟んだ東西両ブロックの、鬼界アカホヤ火山灰層準での累積変位量は数m以下であるものの、引きずり込み総変位量は7m以上におよび、八代海域で見いだされた断層の中では最大である.一方御所の浦島東方海底においても、新たに北東-南西方向へのびる東落ち正断層を見いだした. 平成9年度は本海域の断層の変位量分布を中心に解析を行い、追加の音波探査とコアリングにより最新活動時期の推定を試みる. 2.有明海域における別府-島原地溝の音波探査および活断層マッピング 今回の音波探査により、新たに15カ所にわたり完新世堆積物の表層に変位を持つ断層を見いだした.断層の走行はほぼ東西を示し、完新世に累積変位を有する.熊本市西方には鬼界アカホヤ火山灰層準での変位量5mを示す北落ち成分の、玉名市西方で6m南落ち成分をもつ活断層が見いだされた.
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