研究概要 |
九州中部浅海域を代表する有明海,橘湾,大村湾や八代海において高分解能音波探査をおこない,海底の完新世堆積物を変位させている多数の活断層を見いだした.そのうち大村湾の大似田断層の海底延長部と八代海の日奈久断層海底延長部においてはピストンコアリングをおこない,断層活動時期の推定を試みた. 有明海と橘湾では雲仙火山の近傍に変異量の大きな活断層が地溝・地塁構造を形成する様子がみられるものの,それより東西に離れた湾底では規模の小さな正断層活動のみで,このことは断層活動が雲仙火山のリフティングに強く影響されていることを示唆する. 九州西部大村湾は,おおむね水深20m前後の平坦な海底からなる.全域の高分解能音波探査により,陸上の大似田断層の海上延長上に長さ約6kmにわたり,変位の累積した引きずり込み構造をともなう北落ちの活断層を見いだした.断層をはさみ2本のピストンコアリングを行った結果,赤ホヤ火山灰(6300yBP)や淡水成/海成境界を含む約10mの試料を採取した.コアの対比および堆積速度からの推定によれば,完新世における変位(地震イベント)は2回認められ,その変位量はそれぞれ30cmである.地震のくり返し間隔は約3000年である. 八代海では日奈久断層の海上延長上に大きな横ずれ変異をともなう活断層を確認した.この断層は洪積/沖積境界を少なくとも10m以上変位させており,南部では2本の正断層に分岐発達する様子がとらえられた.
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