本研究の目的は、堆積岩中に含まれる無機態・有機態炭素の存在形態、存在量、および炭素質物質間の相互関係を、各時代・地域を代表するいくつかの試料について明らかにしようとするものである。交付申請書に記載の実施計画、経費の内訳と計上額に沿って下記の研究、およびとりまとめを行った。 前年度にひき続き、北海道の白亜系・第三系分布域で8日間の野外調査と試料採取を行った。また、比較のため、九州の夾炭第三系および埼玉県の第三系においても計8日間の野外調査を実施した。北海道の白亜系では、有機炭素からなる黒色頁岩層の消長の把握、堆積学的な検討を行い、あわせて堆積岩、炭質物、自生炭酸塩鉱物(方解石、菱鉄鉱、アンケライト)試料を追加採取した。他地域においても、炭素質(有機質)堆積岩試料を約50点得ることができた。 今年度までに採取した試料は、前年度に購入した設備備品によって処理、無機態炭素の分離・同定・定量、分析のための試料調製、顕微鏡観察等を終え、分析の一部は現在も遂行中である。その結果、堆積岩に含まれる黒色物質種(炭素質物質、鉄鉱物)の把握、炭素質物質の存在量を整理することができた。また、無機炭素-有機炭素の相互関係について問題点を明らかにした。分析と並行して、これまでの研究成果の一部をとりまとめ、別項に記載の雑誌論文および図書として印刷中である。なお、研究全体のとりまとめは年度内に完了し、学会誌等に投稿の予定である。
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