研究課題/領域番号 |
08640585
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
森 啓 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00004466)
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研究分担者 |
井龍 康文 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00250671)
中森 亨 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (00192229)
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キーワード | 海底洞窟 / 非造礁性六放サンゴ / 隠生的環境 / サンゴ礁 |
研究概要 |
琉球列島や西太平洋の亜熱帯・熱帯地域には、サンゴ礁が広く分布しているが、これらのサンゴ礁には大小様々な海底洞窟が発達している。従来この海底洞窟から硬骨海綿、二枚貝、巻貝、甲殻類などが報告され、六放サンゴ類の存在も知られていたがその詳細はまだ明らかにされていない。これらの無脊椎動物の生息場である海底洞窟は、光のほとんどとどかない隠生的環境をもち、それぞれの群集は、分類学的研究が進むにつれて、きわめて特異であり進化学的にも興味ある研究対象となっている。これまで琉球列島八重山諸島の宮古島、西表島他の海底洞窟から5属6種の六放サンゴ類を識別した。その内容はDendrophyllia 2種、Polycyathus 1種、Paracyathus 1種であとの2種は新属新種と考えられる。識別した種は、すべて共生藻類をもたない非造礁性のサンゴで、浅海に生息しながら、その群集組成は周辺のサンゴ礁を構成するものと全く異っている。この群集は一般的に数十メートルから数百メートルの深度に生息しているものに相当する。また海底洞窟産六放サンゴ群集は、従来日本列島近海から報告されているものとは類似性が少なく、Polycyathusのように西太平洋から初めて発見された種も含まれている。次年度は種レベルの詳細な検討を進め、群集組成の他地域との違い・類似性を明らかにする予定である。なお、沖縄本島南部の第四系琉球層群湾層から海底洞窟が発見され、硬骨海綿、底生有孔虫、巻貝を発見採集したが六放サンゴ類はまだ見つかっていない。今後の研究によって第四紀から現在に至る洞窟産六放サンゴ類の進化史が明らかにできるものと考えている。
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