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平成8年度は、北海道中軸帯の羽幌地域と宗谷・音威子府地域の上部白亜系蝦夷層群を対象に試料採取と古地磁気測定を行った。その結果、宗谷・音威子府地域炭の沢・安平志内川ルートの大曲層上部とその上位のオソウシナイ層下部から、Campanian階前期のChron33rより同後期のChron32に対比できる一連の正逆帯磁層準を発見した。一方、羽幌地域の古丹別川ルート羽幌川層群上中部層からは、白亜紀磁気静穏期Chron34の最後期(Santonian階最後期)から、Campanian階のChron33に対比できる正逆帯磁層準を見いだした。
これらに相当する層準は南サハリンの上部白亜系にも存在するので、相互の対比により、これまで議論の多かった本邦上部白亜系大型化石層序の年代対比が可能となった。特にI.schmidti zoneの時代範囲がCampania階後期のChron32r、すなわち絶対年代に換算して73〜74Maであることが判明したことは特筆に値する。
北海道以外では、中部九州の上部白亜系御船層群上部層、および大野川層群最下部層を調査し、Chron33に相当する正帯磁層準を見いだした。これらの結果から、白亜紀後期以降の西南日本の古地磁気極移動曲線を確立することができた。
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