マグマ水蒸気爆発のメカニズムを理解し、爆発にともなう火山災害分布を予測可能にするため、阿蘇火山をフイルドとして、a.マグマ水蒸気爆発現象の物理計測手法の開発と観測、b.マグマ水蒸気爆発の堆積物に関する地質・岩石学的情報からの爆発エネルギー評価方法の確立、c.地磁気観測にもとづく火山直下における熱情報の推定、そして、d.それらに基づくマグマ-水相互作用のモデル化を目的とした。 開発された観測用システムは火砕流動圧計測用微差圧計をメインなセンサーとする火山性流れ現象の計測システムと、ピエゾ圧電素子圧力センサーとデジタルオシロスコープとを中心とする火山性衝撃波計測用の2システムである。これらのシステムを設置し計測を行うため阿蘇火山に計測用の簡単な施設を設置し、観測を開始している。現在までに30個の記録が残されていたが、火山爆発現象に結びつくものではなかった。爆発エネルギー量の評価に関する研究のために、北海道壮瞥町において野外爆発実験を行った。その結果、マグマ水蒸気爆発など火山爆発現象によるエネルギー量と地質・地形・災害に関するパラメータとの間にはcube-root scaling則が成立することが明らかになった。また、マグマ-水相互作用によるマグマ水蒸気爆発現象の新しいモデルとして、「水-堆積物ジェット貫入型マグマ水蒸気爆発」を提案した。
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