ハロカーボン標準ガスの高圧保存容器として最適なものを選定するため、5種類の容器(汎用アルミニウム、アルミニウム1s、汎用マンガン鋼、マンガン鋼1s、ニッケルメッキマンガン鋼)について、1ppb標準ガス(塩化メチル、臭化メチル、ヨウ化メチル、クロロホルム、四塩化炭素、テトラクロロエチレン)の保存試験を行った。内面研磨度が低い1s以外の3種類の容器では3ケ月後に臭化メチルとヨウ化メチルの著しい減少を示した。マンガン鋼とアルミニウムの1s容器については良好な結果が得られたが、鉄表面における反応性が高い四塩化炭素についてはマンガン鋼1s容器で減少が見られた。 アルミニウム1sとマンガン鋼1sの容器についてさらに低濃度の100ppt標準ガスを用いた長期保存試験、容器の個体差によるバラツキ試験を実施した。その結果、いずれの容器でも臭化メチルとヨウ化メチルは時間と共に減少する傾向を示した。しかし、この減少速度は大きな個体差を示し、100pptヨウ化メチルの場合2ケ月後の減少率は最大100%〜最小10%以下であった(試験数8本)。 このように高圧容器内による低濃度標準ガスの保存性は内壁が滑らかな容器では、多くのハロカーボンが安定であるが、100pptレベルになると臭化メチルとヨウ化メチルの多少の減少は逃れられない。しかし、これら問題のある成分の減少率は時間に対してよい直線性を示すことが分かったので、大気微量成分の高精度分析には低濃度標準ガスをワーキングスタンダードとして使い、これを1ppm標準ガスの希釈ガスによって定期的にキャリブレーションするのが現時点における最良の方法として提案される。
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