1)パルス電子-核二重共鳴用装置の試作 溶液試料のENDORを行うために、現在所有している自作のパルスEPR装置に以下の改良を施した。 a)二重共鳴用試料共振器の設計と試作 核スピン励起のためのラジオ波(RF)、電子スピン励起のためのマイクロ波パルス発生および励起光の照射効率を高くするために、以下の物を試作した。マイクロ波共振器はマイクロ波パルス生成の効率の高いLoop-Gap形の共振器とした。これにラジオ波照明用コイルおよび光照射用の窓を加えた物を設計・試作した。特にRF照射用コイルはインダクタンス、インピーダンスを測定および照射磁場強度の見積もりを行い、最大の効率を得られるよう最適化している。b)パルス列発生器の改良 マイクロ波パルスの位相制御回路を改善し、従来3パルス迄であったものを、4パルスに拡張した。c)磁場の安定化 備品のFM検出の磁場測定装置(EFM-9600)を用いて磁場の変動を検出し、電磁石を安定化することを目的とし、特にNMR信号のFM検出における感度の向上を行っている。 2)測定用制御ソフトウエアの整備 積算装置をメモリ間のデータ転送時間の効率の向上し、積算速度をあげるために、より高速のインターフェイスを用い、これを制御するソフトウエアを開発している。試験的には5-10倍程度の向上が得られた。さらにこれを実際の測定ルーチンに組み込むことを検討している。 3)解析法の整備 自由誘導減衰信号を周波数領域に変換する手法として高速フーリェ変換では不十分であるため、自動的に不感時間部分を補うことのできる周波数解析プログラムに高速のアルゴリズムを導入、さらに二次元に拡張した。
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