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1996 年度 実績報告書

フッ化フラーレンの結晶構造と電子構造

研究課題

研究課題/領域番号 08640643
研究種目

基盤研究(C)

研究機関信州大学

研究代表者

沖野 不二雄  信州大学, 繊維学部, 助教授 (60214037)

キーワードフッ素化フラーレン / フラーレン / X線構造解析 / 単結晶 / 固体リチウム電池 / 電気化学 / 電子構造 / サイクリックボルタンメトリー
研究概要

1.C_<60>をフッ素化するとC-F共有結合をもったC_<60>F_xが得られる。粉末X線構造解析により,高速で回転した,C-F結合の分だけ殻が厚くなった球状分子C_<60>F_xが面心立方構造をとることを見いだした。また,このC_<60>F_xの単結晶育成にも世界で始めて成功し,そのX線構造解析により,C_<60>F_xの中心からの炭素およびフッ素原子までの距離を定量的に決定した。組成はC_<60>F_<46>,格子定数は17.158(3)Åであった。
2.XPS,UPS,XANESなどの電子分光法によって,フッ素化にともなってC_<60>の電子構造がどのように変化するかを明らかにした。フッ素が結合することによりπ共役系が縮小し,π,π^*バンドの幅が狭くなり,同時にフッ素の誘起効果によりπ,π^*バンドのエネルギー準位が低下する。
3.C_<60>F_x,C_<70>F_xを正極とし,ポリホスファゼン誘導体にリチウムイオンをドープした高分子固体電解質を用いた固体リチウム電池の定電流放電やボルタンメトリーにより,フッ化フラーレンの電気化学的性質を明らかにした。電池の開回路電圧は4.0Vと高く,90%という高い正極利用率が得られることがわかった。この放電機構はリチウムによるC-F結合の還元であり,最終的にはフッ素の付加していないフラーレンになると考えられる。
4.CH_2Cl_2溶液中でのサイクリックボルタンメトリー測定によって,C_<60>,C_<70>,C_<60>F_x,C_<70>F_x分子の酸化還元挙動を調べ,ボルンの溶媒和モデルおよび溶液中での化学種の電子移動反応の標準電位と電子親和力との関係を用いることによって,C_<60>F_<36>,C_<60>F_<46>およびC_<70>F_<54>の電子親和力をそれぞれ3.48,4.23と4.42eVと見積もった。この結果は,フラーレンのLUMO-π^*準位がフッ素付加数の関数として深くなることを明らかにしたものである。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] R.Mitsumoto: "Soft X-ray absorption,UV photoemission,and VUV absorption spectroscopic studies of fluorinated fullerenes" J.of Electron Spectrosc.Relat.Phenomena. 78. 453-456 (1996)

  • [文献書誌] F.Okino: "Single crystal of C_<60>F_x and the X-ray stuctural analysis" Fullerene Science & Technology. 4 (5). 873-885 (1996)

  • [文献書誌] N.Liu: "Solid state lithium cells based on fluorinated fullerene cathodes" J.Electorchem.Soc.143 (7). 2267-2272 (1996)

  • [文献書誌] S.Kawasaki: "Discrete-variational Xα calculations of C_<60>F_x with x=0,36,and 48" Phys.Rev.B. 53 (24). 16652-16655 (1996)

  • [文献書誌] N.Liu: "Electrochemical behavior of fluorinated fullerenes C_<60>F_x and C_<70>F_x" J.Electorchem.Soc.143 (9). L214-L217 (1996)

  • [文献書誌] F.Okino: ""Graphite and fullerene intercalation compounds" in Comprehensive supramolecular chemistry,Vol.7" Pergamon, 52 (1996)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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