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1997 年度 実績報告書

低温における水の準安定相間の相転移の理論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 08640646
研究機関京都大学

研究代表者

田中 秀樹  京都大学, 工学研究科, 助手 (80197459)

キーワード水 / 相転移 / パーコレーション
研究概要

低温での水の相転移の可能性と熱力学量の発散の原因を明らかにするために計算機シミュレーションを行った。本研究で提案された相図では高密度液体(HDL)-低密度液体(LDL)の臨界点の位置が負の圧力領域にあり、HDLとLDLは大気圧下では異なる相である。水は相転移を経てLDLになる。LDLは氷(-56kJmol^<-1>よりも1kJmol^<-1>エネルギーが高いだけであり、この差はHDLとLDLの差1.5kJmol^<-1>よりも小さい。また相平衡を仮定した自由エネルギーの計算からLDLは氷よりわずかにエントロピーが大きい状態であり、過冷却の水と比べてこれまで想像されていた以上に水素結合の欠陥が少ないものと予想される。
二種の液体の構造的な特徴を区別するために配位数に注目した。HDLでは4配位の水は298Kで74%、温度を下げて233Kでも83%まで増えるだけであるが、193Kでは94%となっている。LDLとHDLでは10%以上のギャップがある。第二近接まで4配位の条件を課したときにはLDLとHDLに大きな差があらわれる。LDLはこのような水分子がつながってできたネットワークが系全体に広がった(パーコレートした)状態であるがHDLはそうではないことが判明した。そのために、第二の臨界点は第二隣接分子まで4配位である中心水分子のパーコレーション転移点と見なすことができることが分かった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] K.Koga: "Solvent-induced Interactions between Hydrophobic and Hydrophilic Polyatomic Sheets" J.Chem Phys. 106・23. 9781-9792 (1997)

  • [文献書誌] H.Tanaka: "Large Thermal Expansivity of Clathrate Hydrates" J.Phys Chem B. 101・33. 6560-6565 (1997)

  • [文献書誌] K.Koga: "Freezing of Confined Water" Phys. Rev.Lett.79・29. 5262-5265 (1997)

  • [文献書誌] H.Tanaka: "Fluctuation of Local Order and Connectivity of Water Molecules in Two Liquid Phases." Phy. Rev.Lett.80・1. 113-116 (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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