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1996 年度 実績報告書

水素結合による光反応性制御と新規光反応系への展開

研究課題

研究課題/領域番号 08640666
研究種目

基盤研究(C)

研究機関筑波大学

研究代表者

新井 達郎  筑波大学, 化学系, 助教授 (50151139)

キーワード水素結合 / 水素原子移動 / 励起状態 / 異性化 / 蛍光 / レーザーホトリシス
研究概要

本研究では、N-H‥N、O-H‥O分子内水素結合系を合成し、二重結合の光異性化と競争する分子内プロトン移動のダイナミクス、特に、過渡的に生じた互変異性体の励起状態(ピコ秒のオーダーの寿命)とその基底状態(ナノ秒のオーダーの寿命)の挙動に注目し、これらの挙動と分子の構造因子に起因する水素結合場との相関を解明することを目的とした。さらに、分子内と分子間相互作用がカップルした新たな反応系を構築し、それらを相補的に組み合わせた分子認識能を有するホトクロミズム系の創製へと展開を図った。
(1)レーザーホトリシスにより2'-ヒドロキシカルコンはO-H‥O分子内水素結合を通した分子内水素原子移動を励起三重項状態で起し互変異性体の三重項を生成することを明かにした。さらに、増感反応や消光反応によりこの三重項状態における水素移動のポテンシャル曲面を決定した。
(2)キノキサリン環とピロール環を二重結合に導入したオレフィンはシス体で分子内水素結合を形成するためベンゼン中では光照射によりほぼシス体のみを与えるが、メタノール中では主にトランス体を与えた。この様に、分子内水素結合系では水素結合と溶媒の共同効果により反応の効率と選択性を制御できることを明かにした。
(3)ピリジン環とホルミルピロールを二重結合に導入したオレフィンはシス体でN-H‥N分子内水素結合を形成し、光照射により水素原子移動を起し互変異性体を与えた。互変異性体は長波長部に蛍光を与え、その量子収量はN-H‥N分子内水素結合系としては最高の値であり、互変異性体の蛍光の量子収率を向上させる分子設計に成功した。さらに、このオレフィンは励起一重項では異性化を起さず、励起三重項においてシス体とトランス体の間で相互に異性化し、しかもシス体からトランス体への異性化が連鎖過程として進行することを明かにした。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Tatsuo ARAI: "Photochemical behavior of 2-[2-(2-pyridyl)ethenyl]indole on triplet sensitization.Spin multiplicity dependence of the isomerization modes of an intramolecularly hydrogen bonded compound," J.Photochem.Photobiol.A : Chem.96. 65-69 (1996)

  • [文献書誌] Tatsuo ARAI: "Photochemical isomerization around the C=N double bonds of N-methoxy-1-(1-pyrenyl)methanimines in the excited states" J.Photochem.Photobiol.A : Chem.97. 133-138 (1996)

  • [文献書誌] Tatsuo ARAI: "One-way cis→trans photoisomerization of azulenylethenes" J.Photochem.Photobiol.A : Chem.(印刷中).

  • [文献書誌] Tatsuo ARAI: "Preferential association of 7-azaindole dimer in acetonitrile studied by mass spectrometry" Chem.Lett.(印刷中).

  • [文献書誌] Tatsuo ARAI: "Novel solvent effect on highly selective photochemical isomerization of 2-[2-(2-pyrrolyl)ethenyl]quinoxaline" Chem.Lett.(印刷中).

  • [文献書誌] Tatsuo ARAI: "Direct observation of the photoinduced hydrogen atom transfer in 2'-hydroxychalcone" Chem.Lett.(印刷中).

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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