研究概要 |
前年度は主に、コール酸3分子により架橋されたビシクロ、コーラファンを用いたアミノ酸誘導体、糖類、ヌクレオシド等の分子認識を行ったが本年度は閉環型ではなく鎖上のジポダント型コール酸誘導体による分子認識、および結晶場における新規チャンネル構造の解析について研究した。また合成したコーラフアンの光増感剤としての機能を検討した。 1.ジポタント型溝状コール酸誘導体による分子認識:合成の簡便さを考え、ジポダント型のコール酸誘導体を合成し、分子認識能を検討した。スペーサー部位にナフタレンテトラカルボキシイミド骨格を用い、両腕のポダント部位にコール酸を有する溝状ホスト分子を合成した。このホスト分子は10^2M^<-1>のオーダーで2,6-ナフタレンジメタノールを取り込み、温度可変^1HNMRによる立体配座解析の結果、取り込みによりその立体配座を溝状に変換する事が判明した。 2.コール酸誘導体の結晶場における新規チヤンネル構造の創製:コール酸は結晶構造において層間にチャンネル構造を取ることが知られているが、新たな網目状チヤンネル構造の構築を目指した。コール酸メチルエステルの3位にアントラセン環をエステル組合により導入したコール酸誘導体を合成し、ゲスト分子と再結晶する事によりクラスレート化合物を合成した。単結晶X線構造解析により従来とは全く異なる新規チヤンネル構造見出した。 4.ビシクロコーラファンによる光反応制御:ナフタレン系の[2+2]光環化反応にとビシクロコーラファンを光増感剤として用い十分、増感削として機能する事を見出した。しかしながら現在のところ不斉誘起には至っていない。今度、さらなる検討が必要てある。
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