研究概要 |
P,Nを配位原子とするハイブリッド型二座配位子である(2-アミノエチル)ジメチルホスフィン(edmp)および(2-アミノエチル)ジフェニルホスフィン(edpp)を含むRh(I)錯体とジクロロメタンおよび単体硫黄との酸化的付加反応を試みた。[{RhCl(cod)}2](cod=シクロオクタジエン)とedmpおよびedppとの反応をジクロロメタン中で行うと[RhCl(CH_2Cl)(edmp or edpp)2]^+が得られた。X線結晶構造解析の結果、これらの錯体は六配位八面体のtrans(Cl,C)cis(P,P')構造であり、Rh-Cl結合がきわめて長く、クロロメチル基のトランス影響が非常に強いことが明らかになった。また、対応する1,2-ビス(ジメチルホスフィノ)エタン錯体のものも含めて比較すると、Rh-C結合距離はホスフィン配位子のかさ高さが大きくなるに従って長くなる。 [RhCl(CH_2Cl)(edpp)2]^+錯体は、単体硫黄と反応して[RhS_4(edpp)2]^+と[RhS_5(edpp)2]^+の混合物を与える。対応するedmp錯体ではこのような反応は起こらず、[Rh(edmp)2]^+に硫黄をメタノール中で加えると[RhS_4(edmp)2]^+と[RhS_5(edmp)2]^+が得られた。X線結晶構造解析の結果、edpp錯体はtrans(P,N)構造、edmp錯体はtrans(N,N)構造であることが明らかになった。edpp錯体とedmp錯体の反応性の違いは、[RhCl(CH_2Cl)(edmp or edpp)2]^+錯体のRh-C結合の強さの違いから生じていることが明らかになった。
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