研究概要 |
ガラクト-ズオキシダーゼの活性部位では、1つの銅(II)イオンに2つのヒスチジンと2つのチシロン残基の側鎖官能基のみが配位している。そのような配位子の構成単位として、(S)-ヒスチジンメチルエステルと(S)-チロシンエチルエステルにNaBH_3CNとグリオキザ-ルを加えてone pot法により、キラルなN, N'-エチレン架橋-ヒスチジルヒスチジンメチルエステル(eHH-OMe)、-ヒスチジルチロシンエチルエステル(eHY-OEt)、-チロシルチロシンエチルエステル(eYY-OEt)と、N, N'-エチレンビスアミノ酸(X)ジエステル{MeO-HeY-OEt、X=(S)-ヒスチジンと-チロシン}を同時に合成・単離した。さらに、MeO-HeY-OEtからeHY-OEtの合成を行った。当初、計画したeYYとeHHをつないだ4座配位子の合成には、成功しなかったが、eHY-OEtから得たBoc-Gly-eHY-OEtを配位子とする錯体[Cu (Boc-Gly-eHY-OEt)_2]の合成に成功した。電子・CDおよびNMRスペクトルより、この錯体はガラクト-ズオキシダーゼの活性部位と同じ配位構造をもつ錯体の可能性がある。即ち、1つの銅(II)イオンに2つのヒスチジンと2つのチロシン残基の側鎖官能基のみが配位し、チロシンの0^-が架橋しているか、空いた配位座に水などが配位した4角錐構造をとる。今後、ESRや分子量測定により構造をはっきりさせる。さらに、この錯体を用いて、ガラクトースやアルコールとの酸化反応を試みる。
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