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1996 年度 実績報告書

単層カーボンナノチューブの分離精製

研究課題

研究課題/領域番号 08640749
研究種目

基盤研究(C)

研究機関岡崎国立共同研究機構

研究代表者

坂東 俊治  岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助手 (20231540)

キーワードナノチューブ / 限外濾過 / 遠心分離 / 電子顕微鏡
研究概要

単層カーボンナノチューブ(SWNT)は、Fe,Ni,Co等の遷移金属を触媒として炭素を低圧不活性ガス中で直流アーク放電により蒸発させることにより合成できる。1996年に、遷移金属を含有する炭素棒を高温低圧アルゴン雰囲気下でレーザー蒸発することによりSWNTを効率よく合成する方法が確立されたが、いずれの場合にも不純物として、カーボンナノ粒子、炭素皮膜された触媒金属ナノ粒子が含まれる。現在我々は、後者の方法で合成したSWNTを用いて分離精製を行っている。ナノ粒子除去に先立って、フラーレン等の溶媒で抽出可能な有機物を二硫化炭素を用いて抽出、除去する。溶媒に不溶な成分を、0.1%の陽イオン活性剤(塩化ベンザルコニウム)を含む水溶液に超音波振動を用いて分散させ、コロイド溶液を作る。つぎに、2000-5000rpm程度の回転数で遠心分離を行い、SWNT成分を沈殿させ濃縮する。レーザー蒸発で合成したSWNTは、それぞれのSWNTが束ねられロープ状になった試料が得られるが、直流アーク放電で合成したSWNTは、1本1本独立に存在し、遠心分離で15000rpmまで回転数を上げてもSWNTは分散液中に存在し、濃縮される。濃縮過程における両者の違いはこの点だけである。濃縮されたSWNTをさらに純度を上げるため、各種分画分子量範囲を持つ限外濾過膜を用いてナノ粒子のみを濾過することを試みた。用いた濾過膜は、ポア径0.45,0.3,0.2,0.1μmのマイクロフィルター、分画分子量300k,10k,のメンブレンフィルターである。いずれのフィルターも遠心分離法で十分に濃縮を行わない試料を用いると、膜面での粒子吸着により濾過膜がすぐに失活する。それぞれの濾過膜のナノ粒子の分離能力を電子顕微鏡観察により評価した結果、0.3μmまたは、0.2μmの濾過膜が最も優れていた。0.45μmの濾過膜では、SWNTもかなり通過してしまい、0.1μmのマイクロフィルター、300k,10kのメンブレンフィルターでは、ほとんどナノ粒子は通過せずに濾過膜表面に吸着されてしまうことがわかった。現段階で、0.3μmのマイクロフィルターを用いて、SWNTの濃度を90重量%以上に濃縮することに成功している。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (2件)

  • [文献書誌] S.Bandow: "Magnetic properties of nested carbon nanostructures studied by electron spin resonance and magnetic susceptibility measurements" J.Appl.Phys.80(2). 1020-1027 (1996)

  • [文献書誌] A.M.Rao,E.Richter,S.Bandow,et al.: "Diameter-Selective Raman Scattering from Vibrational Modes in Carbon Nanotubes" Science. 275. 187-191 (1997)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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