研究概要 |
アミドC(O)-N結合がねじれた4-t-ブチル-3-ピバロイル-1,3-チアゾリジン-2-チオンを合成し、これらをキラルアシル化剤として二級アルコールの速度論的分割を試みた。溶媒としてヘキサンの様な無極性溶媒を用い、中性条件下で二級アルコールと加熱した結果、反応はスムーズに進行し、対応するピバレートが高収率で得られた。これらのエステルの絶対配置および光学純度を調べた結果、いずれも50-84%eeの光学純度で(S)体が優先的にアシル化されることが明らかになった。一方、塩基としてメチルマグネシウムブロミドを用いた時、中性条件下とは逆の立体選択性で(R)体が優先的にアシル化されることが明らかになった。これは、中性条件下の場合は、アミド基がねじれた配座をとっているのに対し、塩基を用いた場合はアミド基のカルボニルとチオカルボニル基がマグネシウムに配位し、平面構造を取るためと考えられる。今後、他の添加物(ルイス酸等)の効果、不斉収率の向上、メソジオール体への適用、適用限界などを検討する予定である。
|