メダカのアルビノ変異株はそのチロシナーゼ遺伝子に挿入断片をもち、それが原因で体色の異常をおこしている。今回、この課題においてはアルビノ変異株のチロシナーゼ遺伝子を分離し、挿入断片と挿入位置の塩基配列を決定した。その結果、挿入断片は典型的なDNA型のトランスポゾンで、末端に逆位反復配列を持つ、長さ4.7KbのAc様因子と呼ばれるものであった。これは内部にトランスポゼ-スをコードしており脊椎動物で発見された最初の活性のある転移因子である。そこでこの転移因子をプローブとして、メダカのゲノムDNAに対するサザンハイブリダイゼーションを行った。この結果から、Ac様トランスポゾンはゲノム内に約20コピー存在することが判明した。 トランスポゾンはその転移活性を利用して遺伝子改変系を構築することができる。これが可能となれば脊椎動物で最初の系となり、その有用性は大きい。そこで転移活性の有無の検討のためにトランスポゾンの両端にPCRプライマーを設定し、生体内でトランスポゾンが切り出されているか否かの検定をし、メダカ生体内で切り出しが行われていることが確認できた。
|