8月下旬に東京大学海洋研究所の調査船により、三陸沖のタッパナガ調査を行った。大槌沖で群れを発見、終日追尾し、個体識別用の写真撮影、行動観察を行った。9月には北海道室蘭市沖において噴火湾海洋動物観察協会の協力によりほぼ毎週のペースでタッパナガ探索を行った。天候にめぐまれず、1群の発見にとどまったが、この群れについて個体識別用写真撮影と音声録音を行った。個体識別写真より背びれの形状、背びれ後部の鞍型模様から、個体識別を行い、個体台帳に43個体を追加した。個体台帳のコンピュータデータベース化を試み、識別特徴をはっきりとさせるようなコンピュータ上での写真映像の加工技術を確立した、また、検索の高速化を図るため、個体特徴のインデックス化を行った。さらに同伴個体などのグループ構造の情報も検索できるようにした。このとにより、基本的なデータベース構造が確立したことになり、今後さらに継続して個体識別写真の収集を行っていくことで、社会構造の解明が進むと考えられる。音声データは室蘭工大魚住助教授のもとで解析を行っている。また、タッパナガ群の探知、音声録音が遠隔で行えるよう、マイクアレイシステムの開発を試み、来年度の完成を目指している。
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