研究概要 |
8月23-30日に,東京大学海洋研究所の調査船により,三陸沖のタッパナガ調査をおこなったが残念ながら今年度は発見がなかった.9月8-15日には,北海道室蘭市沖において,噴火湾動物観察協会の協力により,タッパナガの探索を行なった.13,14日にタッパナガの発見があり,写真撮影と行動パターンの観察を行なった.13日には,タッパナガは終日社会化行動にあり,一方14日には終日採餌を行なっていた.これまでの行動パターンの観察と合わせると,タッパナガの一つの行動パターンは長時間にわたって持続する傾向があると考えられた.個体識別用写真は現在,昨年度に作製したデータベース処理に従って解析中である.今年度は通常の個体識別調査と共に,カナダ,ダルハウジ-大学のロビン・ベア-ド博士と共同で吸盤タグによる,潜水深度計(time depth recorder)の装着を試み,2個体に対し装着に成功し,それぞれ30分と6時間の潜水データを得ることができた.解析の結果,タッパナガは呼吸のためと思われる30秒程度の短い潜水と,2-3分の潜水を多く行なっていたが,9分を越える長い潜水も行なっていた.また,潜水深度では短い潜水は数m,中程度の潜水では10数mが多く,長時間の潜水では100mを越える深度に達しており,230mを越える潜水も4回記録された.
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