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1997 年度 実績報告書

コンピュータービジョンによる蚊の郡飛の三次元構造の解析と適応的意義

研究課題

研究課題/領域番号 08640812
研究機関盛岡大学

研究代表者

井川 輝美  盛岡大学, 文学部, 助教授 (80212728)

研究分担者 渡辺 守  三重大学, 教育学部, 教授 (80167171)
キーワード蚊 / 郡飛 / 適応的意義 / 行動生態学 / 三次元計測 / コンピュータープログラム
研究概要

雄蚊が一定の時間に特定の場所で郡飛し、そこに雌も飛来して交尾が行われることが多くの種類の蚊において知られている。本研究の目的は、三次元動画像計測システムを開発して蚊の郡飛の時間的・空間的特性を解析し、郡飛の適応的意義を明らかにしようとするものである。平成9年度の研究成果は以下の通りである。
1.LEDとフィルターを組合せた光源装置、三次元計測のための高精度標準座標装置等を製作し、それらを用い野外の蚊の郡飛を開始から終了まで三台のビデオにより録画した。
2.蚊の郡飛の定量的解析のため、種々のコンピュータープログラムを作製した。
3.蚊の画像を解析し、次の結果を得た。(1)蚊の郡飛は照度が50lux以下になると開始し約30分間継続した。(2)郡飛集団の中心・サイズ・swarm markerからの距離は時間や蚊の個体数と関係なく一定の傾向にあった。(3)蚊は郡飛の期間中、頻繁にひとつの郡飛集団から他の郡飛集団へ移動することが示唆された。(4)以上の特性は次の適応的意義を持つと考えられる。基本的に郡飛は低密度の個体郡において交尾相手に効率よく遭遇できるよう進化した行動と考えることができる。郡飛集団の形・サイズ・swarm markerからの距離が一定であることは郡飛中の蚊の密度を上昇させ雌雄の遭遇確率を高めることに寄与する。蚊が郡飛中に頻繁に移動することは雌雄の遭遇確率をさらに高める効果を持つ。即ち、郡飛集団間を移動すれば、交尾相手のより多い郡飛場所を発見する可能性があり、さらに移動中にも交尾相手と遭遇する可能性がある。郡飛中の雌雄の遭遇確率を高めることは捕食の危険性を減少させるために重要である。即ち、郡飛行動は交尾相手の発見に寄与するが、同時に捕食者に狙われる危険性も伴う。そこで郡飛中の雌雄の遭遇確率を高め郡飛時間を短縮させて捕食の危険を減少させるように選択圧が働いていると考えられる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] J.K.Parrish編: "Animal groups in three dimensions" Cambridge University Press, 378 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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