研究概要 |
1.ナタネ(Brassica napusL.cv Nohrinn 18)のCDP-コリン合成酵素CCT1(以下、CCT1pと略す)を過剰発現した大腸菌BL21(DE3)から調製した無細胞抽出液を陰イオン交換カラムクロマトグラフィ(HiTrap Q,Pharmacia)に供し、CCT1pを酵素比活性にして1,200倍まで精製した。CCT1pは、基質であるCTPとホスホコリンに対して、それぞれ、Km値0.19-0.24mMおよび0.43-0.52mMを示した。また、5mMジチオスレイトール(DTT)の存在下で活性が上昇した。また、DDTとともに、4μMチオレドキシンを共存させると活性はさらに上昇した。これらの結果は、まだ予備的ではあるが、植物のCCTが細胞内でSH基の酸化・還元により活性調節をうける可能性を示唆している。また、同様の知見は、すでに多くの研究がなされているホ乳類や酵母のCCTについては全く報告されていないことは注目に値する。 2.CCT1のcDNAをTiプラスミドpAB35SGUSのGUS遺伝子部分と置換したプラスミドpAB_CCT1(カナマイシンおよびハイグロマイシン耐性遺伝子を選択マーカーにもつ)を作製した。pAB_CCT1をアグロバクテリウムC58rifRに導入し、これをもちいてin planta法によりシロイヌナズマを形質転換し、カナマイシンおよびハイグロマイシンに耐性を示す発芽実生を4個体単離した。今後は、これらの個体より、種子を採種し、薬剤耐性を確認した後、脂質及び耐凍性の試験を行う予定である。
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