研究概要 |
本研究は、ホウレンソウ葉緑体のATP合成酵素CF_1のサブユニット、特に活性調節に直接関与するγサブユニットの大腸菌を用いた発現系を構築し、得られるリコンビナントサブユニットを用いてその活性調節の分子機構を解明することを目指した。 上記の目的のために (1)リコンビナントγサブユニットと、ATP合成酵素複合体の活性中心を構成するα_3β_3を用いてin vitro再構成系を確立すること (2)リコンビナントγサブユニット遺伝子への変異導入と変異γサブユニット複合体の再構成法を確立し、活性調節サブユニットの分子機構を探ること の二点を中心課題に据えて研究を進めた。 平成8年度は、リコンビナントγサブユニットを用いたATPase複合体のin vitro再構成系を確立することを目指し、好熱菌F_1由来のリコンビナントαおよびβサブユニットを用いてATP加水分解活性を持ちγサブユニットで活性調節が可能なキメラ複合体を得ることに成功した(Eur.J.Biochem.247,1158-1165(1997))。平成9年度は、変異導入したγサブユニットを作成し、γサブユニットの構造変化と活性調節の関係を明らかにした。そして、γサブユニットの構造変化が、CF_1-ATPaseの強力な阻害サブユニットであるεサブユニット(このサブユニットの発現系も本研究で構築した)の結合を直接調節することを示唆する結果を得た(J.Biol.Chem.Submitted)。
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