研究課題/領域番号 |
08640828
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長谷 俊治 大阪大学, たんぱく質研究所, 教授 (00127276)
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研究分担者 |
井手口 隆司 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (60203121)
藤田 祐一 大阪大学, たんぱく質研究所, 助手 (80222264)
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キーワード | 光合成電子伝達 / フェレドキシン / ラン藻 / petF / 光独立栄養 |
研究概要 |
本研究は、光還元力の供給と分配に焦点をしぼり、光合成細胞内で複数の代謝系が連携してはたらき、動的過程を制御している電子分配の基本原理を明らかにすることを目的としている。本年は電子伝達機能が異なるフェレドキシン(Fd)遺伝子をラン藻や高等植物細胞に導入し、光合成細胞内の電子分配異常を人工的に誘発する実験系を構築した。 ラン藻Plectonema boryanumのpetF欠損株を、トウモロコシのFdのcDNAで形質転換した。この欠損株の光合成機能はトウモロコシの光合成型のFdIにより相補された。FdI cDNAの発現は誘導剤であるIPTGの制御下にあるので、誘導の強弱を調節することにより細胞内のFd濃度を人工的に変化させることが可能であった。Fdが減少するにつれて生育速度が遅延した。この細胞の光合成代謝能を調べたところ炭酸同化と連携した酸素発生能が低下していた。光合成電子伝達系を詳しく解析すると、光化学系I及び光化学系IIの機能は低下しておらず、光化学系I以降のFdを介した電子の利用効率が低下していることが判明した。 この形質転換系を用いて、トウモロコシFdのイソ蛋白質の機能を評価した。FdIは明所での光合成独立栄養条件下では機能できるが、暗所での従属栄養条件下では機能し得なかった。一方、維管束鞘細胞で特異的に発現しているFdIIは、明所よりも暗所での形質転換細胞の生育に効果的であった。FdIとFdIIがin vivoでそれぞれ光合成的な代謝過程と非光合成の代謝過程において、電子分配機能が異なっていることを示唆していると思われる。
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