研究概要 |
アカウキクサでは,通常の植物とは異なり,3つのタイプのアブシジョン(自然に起こる,エチレンによって誘導される時間のかかる,呼吸阻害剤によって誘導される短時間で終了するアブシジョン)が認められ,それぞれ別々のメカニズムで起こっているものと推察される.本研究は,この3つのタイプのアブシジョンの詳細をあきらかにすることを目的とする.本年度は,それぞれのアブシジョンの進行に伴って起こる離層細胞の細胞壁の分解の過程の構造的な詳細を、電子顕微鏡を用いて調べた.特に,ペクチンに対するモノクローナル抗体(methylesterified pectinとunesterified pectinをそれぞれ別々に認識するモノクローナル抗体)を使った免疫電顕の手法によって,ミドルラメラの崩壊の過程を調べた。その結果,自然に起こるアブシジョンおよび呼吸阻害剤によって誘導される短時間で終了するアブシジョンでは,ペクチンの崩壊が認められること;それに対してエチレンによって誘導される時間のかかるアブシジョンではアブシジョンの後もミドルラメラが残ること;その際methylesterified pectinのみが分解されないこで残ることなどを明らかにした.この実験結果及びその生理学的な意味について論文にまとめ投稿した.また、polygalacturonase,cellulaseが,それぞれのアブシジョンの過程で,どの様に挙動するかを明らかにするため,アブシジョンの過程に特異的に関与していると思われる両酵素のアイソザイムのを単離精製を試みた.本年度は,分析用の高速液体カラムクロマトグラフィーを用いて,カラムクロマトグラフィー上での両酵素の特徴を明らかにした.
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