研究課題/領域番号 |
08640846
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
鈴木 孝仁 奈良女子大学, 理学部, 教授 (60144135)
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研究分担者 |
上原 悌次郎 大阪体育大学, 体育学科, 教授 (90025982)
岩口 伸一 奈良女子大学, 理学部, 講師 (40263420)
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キーワード | Candida tropicalis / 菌糸形成 / エタノール / 二形性 / サブトラクション法 / チロシンリン酸化酵素 / リボゾームタンパク / NMT1遺伝子 |
研究概要 |
不完全菌類に分類される石油資化酵Candida tropicalisは、合成液体培地にエタノールを添加することにより、出芽増殖する酵母型から仮性菌糸を誘導できる。先ず、この形態形成の変化をアクチンの細胞内分布に注目して詳細な形態観察を行ったところ、エタノール添加後の対数増殖第一期(倍加時間が3時間)に細胞の極性が失われて球状の細胞が出現すること、第二相の対数増殖期第二期(倍加時間が6時間)に至って球状の細胞から極性の強い菌糸細胞が出芽することが判明した。IMソルビトールをあらかじめ添加すると、エタノール添加であっても細胞形態は対照培養と同じ長楕円球に戻り、菌糸形成が起こらないことも判明した。蛍光偏光消去法の実験より、対数増殖第一期にはエタノール添加による酵母細胞膜の流動性が高まること、さらにソルビトールを添加したものでは、対照培養と同様に細胞膜の流動性が低下することが分かっており、菌糸形成に先立つ細胞膜の流動性の一時的増加が対数増殖第一期に起こることと、第二期に移ると共に細胞膜の流動性が低下して菌糸形成が起こることとが、菌糸形成の一連の変化として重要であることが分かった。。 そこで、対数増殖第一期から第二期に移る直前の時期に特異的に発現される遺伝子を検索するために、対照培養とこの時期におけるエタノール添加培養との間で、サブトラクション法を試みた。本研究では、RNA分解酵素による転写RNAの分解を避けるために、転写RNAを逆転写してcDNA間でのサブトラクションを行うことを試みた。エタノール添加培養から、対照培養と共通に発現する遺伝子を差し引きし、残ったcDNAの集団から約600個の遺伝子をクローニングした。そのうち、22のクローンについてホモロジー検索を行ったところ、リボゾームタンパクのS15、S20、L5やチロシンリン酸化酵素、NMT1遺伝子などのホモローグが同定された。今後は、さらにエタノール添加培養での時間経過を追ったサブトラクションを実施する予定である。
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