1.チクビヒドラ(Hydra magnipapillata)の標準野性型の系統105を材料に、ホールマウント標本と、マセレーション標本を1次抗体に、AE03を、2次抗体にFITC標識抗マウスIgG抗体を用いて蛍光抗体法によって染色し、蛍光顕微鏡、ノマルスキー型微分干渉顕微鏡、共焦点レーザー走査型顕微鏡などを用いて観察することによって、モノクロナル抗体AE03が認識する刺胞が、atrichous isorhizaであることを確認できた。また、ヒドラの体幹部にあるAE03陽性の刺胞芽細胞の形態を、AE03陽性の形成途中の刺胞が一連の形態変化を示しているか、ほぼ刺胞が完成された段階での形態がatrichous isorhizaのものであることが確認された。また、AE03陽性の刺胞芽細胞の数と、触手にみられるAE03陽性の刺胞の数との対応を検討した結果からも、AE03が認識する刺胞芽細胞はatrichous isorhizaのものであることが支持された。 2.体幹部のAE03陽性の刺胞芽細胞の形態を共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いて、詳細に観察し、刺胞のカプセルに当たる部分が最初に核に近くに形成され、その一端からいわゆるexternal tubeが伸びだし、核を取り巻くように伸長してゆき、その後短縮し、同時にカプセル部分が大きくなるといった形態形成の過程を観察することができた。また、刺糸が刺胞が細胞に見られるexternal tubeが刺胞のカプセル内に陥入することによってカプセル内部に巻き込まれたかたちで形成されることが示唆された。 3.その他に、形成された刺胞の移動に関する知見、刺胞分化がネスト(刺胞が集団、8個の細胞質の連絡を持った細胞からなる)内ではよく同調しており、そのためにはネストの維持が必要であることなどが明らかになった。以上の結果は、現在投稿準備中である。
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