研究概要 |
単細胞生物ブレファリスマの光行動に関わる新しい光センサーであるブレファリスミン色素種の局在について解析し,光感受性部位に存在するのはブレファリスミン-2であることを解明した。さらに、ブレファリスミン-2と複合体をなす200kD膜タンパク質の単離に成功した。 ブレファリスミン-2/200kDタンパク質複合体が、光センサーとして確かに機能していることを遺伝子ターゲッティング法を用いて直接的に実証するために、200kDタンパク質をコードしている遺伝子のクローニングを試みた。遺伝子クローニングに必要な200kDタンパク質の部分アミノ酸配列の決定は、N末端がブロックされていることや、通常の方法ではタンパク質が酵素消化されにくいことから困難を究めた。しかし、電気泳動中に酵素消化するという方法(クリーブランド法)を改良することによって、200kDタンパク質の部分アミノ酸配列の決定に成功した。この部分配列を手がかりにコンピュータ検索したところ、ある種のH^+ATPaseと高いホモロジーを示した。光シグナルが細胞質H^+濃度の上昇という化学シグナルに変換されることが示唆されていることを考えあわせると、これは興味深い事実である。部分アミノ酸配列をもとに、これに対応するオリゴヌクレオチドを合成しPCR法によって目的のDNAの増幅を試みたが、現在のところ良好な結果は得られていない。
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