• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

昆虫の交尾に伴う生理・行動の変化の生理学的解析-行動異常カイコガを用いて

研究課題

研究課題/領域番号 08640870
研究機関九州大学

研究代表者

市川 敏夫  九州大学, 理学部, 助教授 (50136420)

キーワードカイコガ / 交尾 / 性フェロモン / 神経分泌細胞 / 神経ペプチド / 精液 / 不活性化 / 麻酔
研究概要

カイコガのフェロモン合成を抑制する交尾のシグナルは2種あることが確かめられた。すなわち、雄との交接による機械的刺激と精液中の精子または精巣由来物質による(化学的)刺激である。機微的刺激(射精能力の無い雄との交尾)のみでも交尾中はフェロモン合成は抑制されるが、割愛後フェロモン合成は再開される(一時的抑制)。雌の交尾嚢から精液を取り出し人工的に未交尾雌の交尾嚢に注入する方法(人工受精)による化学的刺激のみでは抑制されないが、未交尾雌に予め上記の機械的刺激を加え、人工受精を行うと長則的抑制が起こった。これらのことから、機械的刺激によるPBAN分泌細胞の一時的抑制を化学的刺激によるシグナルが持続的な抑制にするという2段階の抑制機構が示唆された。
PBAN分泌細胞の活動の停止が正常雄との交尾によっても起きないことがしばしばあったので、その原因を探るため交尾中あるいは交尾後、拘束状態においた個体のフェロモン量をHPLCで測定したところ、正常雄との交尾後、自由に放置した雌では、その後のフェロモン合成の再開はほとんどなかったが、拘束状態(縛る、吊す)に置かれた雌では50%以上の個体でフェロモン合成が再開されることが確かめられた。同様な交尾後のフェロモン合成の再開は交尾後に15分間、2酸化炭索で麻酔することやエーテルで1-2分間麻酔することでも見られた。このような処理を施すことによって、脳内の生体アミン量などが変わり、長期的な抑制を解除すると予想される。
産卵行動異常系統(XU20)は未交尾でも産卵を行うが、フェロモン濃度の低かったことおよび食道下神経節のPBAN活性は正常系統と変わらなかったことから、この系統ではPBAN分泌細胞の停止が起きていると示唆される。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Ichikawa,Toshio: "Activity patterns of neurosecretory cells releasing pheromonotropic neuropeptides in the moth, Bombyx mori" Proceeding of National Academy of Sciences,USA. (印刷中).

  • [文献書誌] I.Shimizu et al.: "Neuroendocrine control of diapause hormone secretion in the silkworm,Bombyx mori" Jouranal of Insect Physiology. 43. 1101-1109 (1997)

  • [文献書誌] T.Ichikawa et al.: "Functional differentiation of neurosecretory cells with imminoreactive daiapause hormone and pheromone biosynthesis activating neuropeptide of the silkworm" Zoological Science. 13. 21-26 (1996)

  • [文献書誌] T.Ichikawa et al.: "Neural inactivation of sex pheromone in mated females of the silkworm moth, Bombyx mori" Zoological Science. 13. 27-33 (1996)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi