乾燥地帯にすむヒキガエル(Bufo alvarius)の飲水行動と腹部皮膚の持つ化学感受性を調べた。 1。受容野と受容細胞の同定:脊髄神経にカーボシアニン系蛍光色素Dilを与えたところ、シナプスを越えて広がったと考えられるDilによって標識された細胞が腹部皮膚に見つかった。このような細胞は、5と6番の脊髄神経の支配領域にクラスター状に分布し、その面積は小さいが密度は高く、約150個/mm^2に及ぶ場合があった。皮膚上皮をマイクロスライサ-で切片とし、共焦点レーザー顕微鏡で観察すると、標識された細胞は上皮の胚芽層に位置し、外界とは直接面していないと判明。神経の自由神経末端もほぼ同じ層に分布した。 2。受容細胞の細胞レベルでの同定:Dilで標識された神経と細胞を、DAB存在下で光化学反応させ、電子顕微鏡で観察をした。この細胞は基底層と接触し、標識されない他の胚芽層の細胞と同じ構造で、皮膚の機械受容に関与するといわれるメルケル細胞ではなかった。 3。行動実験:脱水させたB.alvariusは腹部皮膚を接触させ水を吸収する飲水行動を示す。この行動は250mM NaClに対しては、約3分の1に抑制された。ところが、10μM amilorideを加えると3分の2まで回復し、食塩水忌避行動にはアミロライド感受性Na^+channelの関与が示唆された。
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