今年度は、主にコムシ目、カゲロウ目の胚発生過程の検討を行った。内容は下記の通りである。 1.コムシ目 (1)ナガコムシ亜目の口器の形成を詳細に検討した結果、ハサミコムシ亜目のそれに酷似するものの、同じく内顎類のトビムシ目のそれとは異なることが確認された。このことから、コムシ目の単系統性は強く指示されるものの、内顎類の単系統性の再検討の必要性がでてきた。この内容は第20回国際昆虫学会議のシンポジウムで発表し、また、現在投稿準備中である。 (2)一次背器の形成にともない、羊膜が産生されることが明らかになった。内顎類昆虫では羊膜は存在しないことが定説となっており、この報告は、系統学的考察において非常に重要なものである。この内容は短報として印刷中である。 2.カゲロウ目 体節制の検討を行い「尾糸」の起源を明らかにした。従来、尾糸は第11腹節(最後端節)の背板の伸長と解釈され定説となってきた。しかし、この考えは誤りであり、原始的な体節動物に見られる「尾節」に相同な構造であることを明らかにした。この内容は印刷中、投稿中の2篇の論文とした。 また、沖縄県山原に採集を行い、検討の必要な昆虫群を得、次年度の研究材料として、現在飼育中である。
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