予備実験として行ったアカバナ科8属12種に加え、平成8年度は、国内においては、アカバナ科・ミズタマソウ属・アカバナ属などの採集を行い、一方、国外からは、ミズユキノシタ属・フクシア属・ガウラ属・チャメリオン属などを入手することができた。これまでに、これらの属(種)の間期核染色体の動態の観察とDNA量の測定を行っている。また、アカバナ科の外群として、ザクロ属を入手し、アカバナ科と同様な観察および測定を行っている。 新たに入手した6属17種とこれまでの8属12種の間期核染色体の動態の観察とDNA量の測定から、これまでに判明したことは以下の通りである。 1.間期核染色体の類型;前染色体型・単純染色体型・複雑染色体型の3型のDNA量は1pgから5pgの範囲内に連続的に分布し、これまでの結果からでは、DNA量からの間期核染色体の類型化は困難であることが判った。 2.DNA量が5pgと6〜7pgの間にはギャップがみられ、DNA量が6〜7pg以上の属(種)の間期核染色体は分散型であることが判った。 3.1pg未満のDNA量をもつ属(種)は、アカバナ属(狭義)とアカバナ科の他の属の姉妹群であるミズユキノシタ属であることが判った。 4.広義のアカバナ属のなかで、属間にDNA量の差がみられ、このDNA量の相違から、広義のアカバナ属の系統関係を推定できる可能性が期待できることが判った。
|